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スタッカートは、曲中によく登場する指示、記号のひとつで、通常「その音価の半分の長さで弾け」というふうに解釈されます。
(音価:ある音の長さのこと。)

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例えばこの楽譜だと、8分音符にスタッカートがついていますから、『弾くときは16分音符の長さで弾け』、と解釈するわけです。



本当にそうなのでしょうか?




スタッカートってどんな音?

スタッカートというのは、「音がヒュンと飛んで行って離れていく」ような、早いペースでの減衰を伴う音のことです。

音というものはすべからく、 発音→持続→消音 という人生を辿ります。
ある音が発音されて、それがどのようにふくらんで、どのように変化しながら、あるいは保たれながら、やがて減衰し、消音されるのか。
たったひとつの音を鳴らすだけでも、これだけ変化させうる箇所があるのです。
これらを変化させることで、例えば盛り上がりを表現するために、音をどんどんふくらませていく(この場合は音量を上げる、程度の意味です)なんてアプローチがあるわけですね。

このように、“どんな印象の音にしたいか”を踏まえて音を変化させることを、“表現する”、と呼びます。わたしはこれまでピアノやオケで音楽をやってきて、そういう解釈に至りました。


スタッカートの話に戻りましょう。


“スタッカートな音”というものが存在します。これは先ほども言ったように、「音がヒュンと飛んで行って離れていく」ような、終わり際が早いペースで減衰している音のことです。
“音の終わり方、減衰の仕方についてのコメント”として解釈すると、わかりやすいかもしれません。

楽器にもよりますが、歌や弦、管のように持続音を変化させながら出せる楽器なら、ある一音の終わりをゆーっくり減衰させたり、急に減衰させたりできますよね。スタッカートな音を出すためには、この減衰を急にやってください。
ポイントは、あくまで“音の終わりがヒュン…!と減衰すること”であって、“音を短く弾くこと”ではありません。
本来、音の“長さ”について特に指定しているわけではない、ということは、覚えておいて損はないです。




なぜスタッカートは“音を短く切る”という意味だと思われるのか。

スタッカートな音を表現するために、“奏法として“短く切るというアプローチをとる、というのは確かに主流です。
それがいつしか、

『スタッカートな音は、短く切れば表現できる!』
        ↓
『スタッカートは、短く切るものである』
        ↓
『スタッカートは“短く切れ”という意味である』(!)

というふうに変化していったのだと思います。推測ですが。

実際、ピアノやギターなど、持続音を変化させられない楽器の場合は特に、『音を短く切る』というアプローチでとても効果的にスタッカートを表現できます。音を切っても残響がわずかに残るので、素早く減衰して飛んでいった感じが出せるんですよね。

が!例えばピアノのこの楽譜。

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この場合、この小節全体でGの和音(ソシレ)を魅せるべく、スタッカートのついた低いソは割と響かせて、テヌート(音量を保った音)気味に、やや長めの拍で弾くというアプローチがあってもいいと思います。次の高いレに跳躍するときには、どのみち手の大きい人でも音が切れるでしょうし、切ることはさほど大事ではありません。

そう考えると、他にもテヌートを伴ったスタッカート、スラーの終わりに来るスタッカートなんかも、表現を考えやすいですね!

スタッカートについては、こんな感じで解釈してます。




まとめ。

何度も書きますが、スタッカートというのは、「音がヒュンと飛んで行って離れていく」ような、早いペースでの減衰を伴う音のことです。
それを表現するために、音を短く切るというアプローチはたいへん効果的です。
が、「スタッカートは短く切るもの」と思いこんでしまうと、納得のいく表現がなかなかできないことがあります。
短く切るのはあくまで表現の仕方のひとつであって、スタッカートな音を出せるなら長さは関係ないのだ、ということを忘れず、効果的な表現を探っていきましょう( 」´0`)」




参考文献。

こういう知識をどこで仕入れてくるのかといいますと、本や音大の知り合い、作曲者の知り合いや演奏家の先生なんかからです。
こういう話に興味のある方は、とっつきやすいのは本を読むことだと思いますので、いくつか紹介しておきます。

今回のスタッカートの話やそれ以外、音楽全般について、小澤征爾他の『斎藤秀雄講義録』が、比喩がわかりやすく深いのでオススメです。




小澤征爾の師である斎藤秀雄は、割と学者肌な人だったらしく、音楽の世界に身を置きながらとうとうと長年考え続けて辿りついたであろう深い洞察と解釈を、音楽の知識があまりない人にも伝わるような、たいへん口当たりの良い比喩で話せる方でした。これはとてつもない名著でして、初めて読んだときは本当に衝撃的でしたね。音楽観変わります。独習の方は特に!


実践的な解釈なら、西尾洋の『応用楽典 楽譜の向こう側 独創的な演奏表現をめざして』もオススメです。




これは知識0だと楽しめないと思いますが、ある程度知識のある方なら、「そうそう、こんな時どうやって表現していいかわからなかったんだよ!」というようなことを、具体的に実践的に書いてあります。深い考察と豊富な資料に裏打ちされているのがいいですね。





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